パートタイマー、アルバイト、契約社員の相違
パートタイム労働法第2条:短時間労働者の定義「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者で、1週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。」。
パートタイム労働法では、この短時間労働者のことをパートタイム労働者と同義に用いており、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託社員」「臨時社員」「契約社員」などの呼び方に関係なく、通常の労働者より所定労働時間が短ければパートタイム労働法が適用される。パータイム労働法上は、パートタイマー・アルバイト・契約社員等の呼称が違っても、パートタイム労働者として一括りにして定義しています。
パートタイマーを採用するときは、書面で、「労働条件通知書」(モデル様式:厚生労働省のホームページ)を交付すべし:
労働基準法第15条「使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」
書面に明示しなければならない事項
(1) 労働契約の期間に関すること
(2) 就業の場所および従事すべき業務に関すること
(3) 始業・終業の時刻、所定労働時間を越える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関すること
(4) 賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期
(5) 退職に関すること(解雇の事由を含む)
パートタイマーの契約期間。
労働基準法14条1項:パートタイマーなど有期労働契約(期間の定めのある労働契約)を結ぶときの契約期間の上限は3年*。契約期間の下限は決められていませんので、1ヶ月・3ヶ月・6か月・1年など、3年以内の期間でどのような契約期間にするかは当事者の自由。更新は可能で、契約期間が経過しても使用者が異議を述べないとき、同一の条件で契約の更新がなされたとみなさる(民法629条第1項)ので、更新を拒絶(雇止め)し契約を修了させるときは1ヶ月以上前に通知する。
*有期労働契約の上限が5年:
(1) 高度の専門的知識、技術又は経験を有する者との有期労働契約
(2) 満60歳以上の者との有期労働契約
(3) 一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期の建設工事等)
パートタイマー専用の特別規定の就業規則は必要か。
労働基準法第89条「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない。」使用者に就業規則の作成を義務づけています。この常時10人以上とはパートタイム労働者をも含めた数をいいます。したがって、正社員とパート社員を含めても10人未満であれば就業規則の作成義務はない。
パートタイマー就業規則を別規程として設ける場合は、まず正社員用の就業規則の本条に、「この就業規則はパートタイマーには適用しない。」のように除外規定を設け、さらに「パートタイマーに関する事項については、別に定めるパートタイマー就業規則による。」のように、委任規定を設けます。
また、パートタイマーのほかに嘱託社員やアルバイト等が混在している場合などは、それぞれについて就業規則を作成した方がよい。
この場合の手続きですが、通常の就業規則作成と同様の手続きが必要になります。したがって、労働基準監督署への届出や労働者代表の意見聴取が必要となります。この場合、意見を聴く労働者代表はパートタイマー等の代表でなく、パートタイマー等を含む全従業員の従業員代表となります。なお、パート代表者との意見聴取は努力義務とされていますので、パート代表者から意見を聴かなくても法違反とはなりません。
パート労働者は、一般に正社員と比べ企業に対する帰属意識が希薄です。また、企業を渡り歩いている労働者も多く、知識もそれなりに豊富な人が多いものです。したがって個別労働紛争でトラブルになるケースは、正社員よりパート労働者の方が多いのが実態です。
企業としては、労働条件通知書等で入り口(採用時)をシッカリ押さえる、契約更新はキチンと行なう、リスクを軽減したパートタイマー就業規則を作るなどのリスク対策が非常に重要となります。
パートタイマーの年休。
労働基準法第39条「使用者は、その雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなくてはならない。」この条文の適用はパートタイマーについても例外ではなく、労働時間数に応じた比例付与で年次有給休暇(年休)は与えなくてはなりません。
要件は、1週間の所定労働時間が30時間未満の労働者であって、かつ、(1) 週によって所定労働日数が定められている労働者については1週間の所定労働日数が4日以下の者、または、(2) 週によって所定労働時間が定められていない労働者は年間所定労働日数が216日以下の者、が年休の比例付与の対象者となります。したがって、1週間の所定労働日数が5日以上、あるいは年間所定労働日数が217日以上のパート労働者は比例付与の対象となりませんし、かつ、この条件を満たしていても1週間の所定労働時間が30時間以上のパート労働者は比例付与の対象となりませんので、通常の労働者と同じ年休を与えなくてはなりません。
1日の所定労働時間を3時間の契約とすれば、たまたま4時間・5時間の労働があったとしても、年次有給休暇に対しては、1日の所定労働時間3時間分の賃金を支払えば良いことになります。
パートタイマー(1日の労働時間が5時間)の休憩時間。
労働基準法第34条「休憩時間は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくても1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えること。」
1日の労働時間が5時間のパートタイマーには、休憩時間を与えなくとも差し支えない。
パートタイマーの解雇と雇止めの違い。
パートタイム労働者の解雇:
「パートタイム労働法」および「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」:
「解雇」:契約期間の満了を待たずにその途中において契約を打切ること。
一般の常用労働者と同様に「少くても30日前にその予告をするか、若しくは30日分以上の平均賃金を支払わなくてはならない」としています。したがって、パートタイム労働者であっても契約期間の途中に解雇する場合は、30日前の予告か30日分の解雇予告手当の支払いが必要となります。この規定は強行規定ですので、労働者が監督署に申告したような場合、指導や是正勧告の対象となります。
なお、次の労働者には解雇予告手当の規定は適用されませんので、解雇予告手当は支払う必要はありません。
(1) 日々雇い入れられる者(1ヶ月を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
(2) 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
(3) 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
(4) 試みの試用期間中の者(14日を超えてを超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
パートタイマーの有期労働契約の雇止め:
「パートタイム労働法」および「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」:
「雇止め」:パートタイマーや臨時社員などの有期労働契約(一定の期間を定めて雇用)した者に対して、契約期間の満了をもって新たに契約を更新しないで労働契約を解消すること。
平成16年1月1日から、『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』を策定しました。これは有期労働契約の締結、更新及び雇止め等に関するトラブルの防止を図ったもので、雇止め等に関する過去の裁判例などを踏まえて基準化した。
1、 契約締結時の明示事項等
(1) 使用者は、有期労働契約者に対して、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示しなければならない。
(契約の更新の有無の具体的な内容は、例えば、(ア)自動的に更新する、(イ)更新する場合があり得る、(ウ)契約の更新はしない等)
(2) 使用者が、有期労働契約を更新する場合があると明示したときは、労働者に対して、契約を更新する場合、又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。
(判断の基準の具体的内容は、例えば、(ア)契約期間満了時の業務量により判断する、(イ)労働者の勤務成績、態度により判断する、(ウ)労働者の能力により判断する、(エ)会社の経営状況により判断する、(オ)従事している業務の進捗状況により判断する等)
(3) 使用者は、有期労働契約の締結後に(1)又は(2)について変更する場合には、労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければならない。
2、 雇止めの予告
使用者は、契約締結時に、その契約を更新する旨明示していた有期労働契約(締結している労働者を1年以上継続して雇用している場合に限る)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。
(その対象となる有期労働契約は、(ア)1年以下の契約期間の労働契約が更新又は反復更新され、最初に労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合、(イ)1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合、をいう)。
3、 雇止めの理由の明示
使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければならない。また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様とする。
(雇止めの理由は、契約期間満了とは別の理由とすることが必要で、例えば、(ア)前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていた場合、(イ)契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約は当該上限に係わるものであるため、(ウ)担当していた業務が終了・中止したため、(エ)事業縮小のため、(オ)業務を遂行する能力が十分でないと認められるため、(カ)職務命令に違反する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたこと等勤務不良のため等)。
4、使用者は、契約を1回以上更新し、1年以上継続して雇用している有期労働契約者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするように努めなければならない。
上記は、あくまでガイドラインですから、労働基準法のような法的強制力はないものの、行政官庁は、この基準に基づき、使用者に対して必要な助言や指導を行うことになります。雇止めに関して裁判になったときの審理の判断基準は次のようなものであるとされます。
(ア)その有期雇用は臨時性のものか、常用制のものか、(イ)更新の回数はどれ位か、(ウ)通算期間はどれ位か、(エ)更新の手続きはキチンと行われていたか、(オ)雇用継続の期待を抱かせる言動や制度はなかったか等。
パートタイム労働法では、1年以上雇用するパートタイム労働者を雇止めする場合は、「少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない」としています。したがって、契約更新するつもりがないのなら30日前までに予告しなければなりません。この規定は強行規定ではありませんが、これを遵守することがトラブル防止上大切となります。
パートタイマー(1年契約)の突然の途中解約の申し出。
2週間の予告期間を置けばいつでも辞めることができるとされます(民法629条1項)。また、これとは別に暫定措置として、1年を超える有期労働契約を締結した労働者は、労働契約の期間の初日から1年を契約した日以後においては、使用者に申出ることにより、いつでも退職できることになっています(労基法附則137条)。専門職や契約社員・パートタイマーなどの契約期間に定めがある労働契約(有期労働契約)の場合は、途中解約はできないというのが原則です。が、止むを得ない事由があるときは即時に契約の解除ができるとされています(民法628条)。
ただし、使用者側からの即時解雇の場合では、労働基準法による解雇予告手当の問題が生じ、また、契約残期間の賃金について労働者から損害賠償請求される。一方、労働者側からの退職の場合は、使用者が代替要員の確保等で実際に損害を受けた場合は損害賠償請求の対象となり得ます。
実務上は、契約期間を根拠に頑なに退職を拒否するよりは、代替要員確保まで退職を待つよう話す方が現実的。
業務上災害で負傷したパートタイマーの解雇。
労働基準法19条「使用者は、正規労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。」
パートタイマーは一般に有期契約(一定の期間を定めた雇用契約)を結んでいますので、業務上災害による療養のためで休業していた場合でも、その休業期間中に契約期間が満了すれば、その時点で労働契約は解除されることとなります。ただし、1年以上継続雇用しているパートタイマー等については、契約満了日の少なくても30日以上前に雇止めの予告を行なわなければなりません。
パートタイマーの雇用管理の注意点。
1、 労働条件通知書
パートタイマーを雇入れる際には、「労働条件通知書」などでキチンと労働条件の明示を行うべきです。なぜなら、口約束などのあいまいな条件で雇入れをした場合、双方が一方的に思っている条件の違いなどから、どうしても後日にトラブルが生じます。パート労働者は、転職経験が豊富なため、知識も豊富な人が多いものです。労働基準監督署や合同労組に駆け込むこともあります。したがって、入り口の時点でルールをきちんとしておくことが、結局は事業主を守ることになります。
パートタイム労働指針では、書面の交付について「労働条件通知書」の交付を推奨しています。「労働条件通知書」のモデルは、ネットで簡単にダウンロードできます。賞与や退職金の支給は事業主の任意ですので、支給する気がないのなら、ここでキチンと「無し」に○をつけておきます。各項目の記入は労働基準法などの知識を要しますので、不安な場合は社会保険労務士にご相談ください。
2、 雇止めの予告
パート労働者の場合、1回の契約期間で終了ということは稀で、契約更新を続けるていることが通例です。
ただし、『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』では、これらの反復更新が1年を超えてしまうと、契約満了により契約を打切る場合でも、30日前に雇止めの予告が必要とされています。あらかじめ雇止めすることが分っているときは、30日前までに、できれば口頭ではなく、「更新拒否通知書」などの証拠の残る書面で通知しておきましょう。
特に、何年も反復更新を続けているパート労働者を雇止めする場合は、トラブルに発展するケースが多くなります。裁判例でも、パート労働者などの有期雇用契約労働者の、「短期雇用契約が反復更新されて期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となった場合」あるいは、上記までには至らない場合であっても、「継続雇用に対する労働者の期待利益に合理性がある場合」には、解雇濫用法理が類推されるとします。要するに、何年も反復更新を続けているパート労働者の契約更新を拒否するには、常用労働者を解雇するのと同様の合理性が必要であるとしています。
したがって、更新を行う際は面倒でもその都度キチンと更新手続を行うこと。雇止めを考えるときは、遠回りでも、契約更新の際に次回は更新しない旨の契約をするなどして、事前に通告する方法を取るなどしてリスクに備えた方が良いでしょう。また、不確定であるのに「頑張れば正社員になれる」「「余程のことがない限り契約は更新される」「できるだけ長く努めるように」などパート労働者に雇用継続の期待を抱かせるような発言は極力控えるべきです。
いずれにせよ、トラブル防止考えるなら、自動更新は極力避けることはもとより、更新の手続きを行う際も形式的にならないよう注意すべきでしょう。
3、 雇止めの理由の明示
パートタイマーなどの有期労働契約者に対しては、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示しなければならないことになっています。(ア、自動的に更新する。イ、更新する場合がある。ウ、契約の更新はしない等)。
また、「更新する場合がある」と明示したときは、労働者に対して、契約を更新する・しないの判断基準を明示する必要があります。(具体的には、(ア)契約期間満了時の業務量により判断する、(イ)労働者の勤務成績、態度により判断する、(ウ)労働者の能力により判断する、(エ)会社の経営状況により判断する、(オ)従事している業務の進捗状況により判断する等)
したがって、雇入れの際および更新の際に「労働条件通知書」などで更新の有無を記載することになりますが、「自動的に更新する」はリスクが高いので止めた方が良いでしょう。「更新する場合がある」と明示したときは、上記の(ア)〜(オ)までを連記することで良いと思います。
また、パートタイム労働法では、雇止めしたパート労働者から請求があった場合は、雇止めの理由の明示を行うことが規定されています。
4、 採用管理
パートということで、人となりも見ず安易に採用したため、後日トラブルが生じたというケースも結構あります。パートと言えども最低限、履歴書を取ったり、面接をするなどして採用管理はキチンと行ってください。
5、 パート労働者就業規則
パート労働者用の就業規則を作成していない場合は、正社員の就業規則がパート労働者にも適用されることになります。トラブル防止と差別化を図るためにも、パート労働者就業規則は必ず作っておいてください。最近では、むしろ正社員よりパート社員との労働トラブルが多くなっています。パート労働者の雇用管理も手を抜かないようにしてください。
長期勤務のパートタイマーの退職金。
就業規則などに、パートタイマーには退職金を支給しない旨を定めてあれば退職金は支給する必要はありません。また、就業規則がない場合でも、雇入通知書や労働条件通知書などで退職金を支給しない旨が記載してあれば支給の必要はありません。
正社員の就業規則はあるが、パートタイマー就業規則などの別規程が設けられておらず、どこにも「パートタイマーには退職金を支給しない」旨が書いてないとすれば、パートタイマーにも正社員用の退職金規程が適用されることになります。
当該パートタイマーを募集したときの募集条件等に、退職金を支給しない旨を記載した証拠が残っていたような場合は、支給しなくても済むと考えますが、過去に慣行でパートタイマーにも退職金を支給した事実があったり、事業主に支給する旨の言動があった場合は支給しなければならないケースが生じるでしょう。
パートタイマーの労働保険・社会保険。
労働保険(労災保険と雇用保険)と社会保険(健康保険と厚生年金保険)はそれぞれ所轄が違います。
労働保険のうち、労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワーク、社会保険は社会保険事務所で手続きを行ないます。
1.労災保険
法人・個人事業に係わらず、労働者を1人でも雇っている場合(正社員のみならず、パート、アルバイト、外国人労働者など全ての労働者を含む)は、労災保険に加入しなければなりません。加入を義務付けられない唯一の例外は、「個人経営であって、常時使用する労働者が5人未満の農林水産の事業」だけです。
2.雇用保険
雇用保険も、労災保険と同様に、法人・個人事業に係わらず労働者を1人でも雇っている場合は強制適用事業とされ、例外として「個人経営であって、常時使用する労働者が5人未満の農林水産の事業」については、加入は任意とされています。ただし、法人の役員は雇用保険に加入できませんし、同居の親族も原則として雇用保険に加入できません。
また、次の人には最初から雇用保険は適用されません。
(1) 65歳に達した日以後に新たに雇用される人
(2) 短時間労働者であって、季節的に雇用される人
(3) 4ヶ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される人
(4) 船員保険の被保険者
(5) 国、都道府県、市町村等の事業に使用される人で、雇用保険の給付を超える制度がある場合
(6) 昼間学生がアルバイトをするような場合は、原則として被保険者になれません。ただし、通信教育、夜間、定時制の学生は被保険者になります。
次に、雇用保険の一般被保険者は労働時間によって、「(短時間被保険者以外の)一般被保険者」と「短時間被保険者」に分けられます。
「一般被保険者」とは、週所定労働時間が30時間以上の人をいいます。
一方、「短時間被保険者」は、週所定労働時間が20時間以上30時間未満であり、かつ1年以上雇用される見込があることが条件となります。週所定労働時間が20時間未満の人は、被保険者になれません。上記の条件に当てはまるかどうかで雇用保険の加入の有無が決定します。
短時間被保険者が基本手当の支給を受けるには、離職の日以前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上必要となります。一般被保険者が、離職の日以前1年間に賃金支払基礎日数が14日以上ある月が6ヶ月以上です。なお、基本手当の所定給付日数については、短時間労働被保険者でも一般被保険者でも同じ日数です。
3.健康保険・厚生年金保険
健康保険と厚生年金保険は一緒に手続きを行ないます。どちらか一方を加入することはできません。
法人であれば常時使用する従業員を1人でも使用していれば、健康保険と厚生年金保険に加入しなければなりません。また、労働保険と違い法人の役員(非常勤を除く)も被保険者になります。
個人経営の場合では、以下の事業は健康保険・厚生年金保険に加入しなくてもよいことになっています。
(1) 常時使用する従業員が4人以下の個人経営の事業
(2) 常時使用する従業員が5人以上であっても個人経営の、(ア)農業、畜産業、水産業、林業などの第一次産業、(イ)理容、美容の事業、(ウ)映画の製作又は映写、演劇、その他興行の事業、(エ)旅館、飲食店、接客業や娯楽場。弁護士、会計士、社労士等法律関係の事業等のサービス業、(オ)神社、寺院、教会等の宗務業
また、従業員であっても次の人は最初から被保険者になれません。
(1) 2ヶ月以内の期間を定めて雇われた人(ただし、所定の期間を超えて引き続き使用されるに至ったときは被保険者になります。)
(2) 日々雇入れられる人(ただし、1ヶ月を超えて引き続き使用されるに至ったときは被保険者になります。)
(3) 季節工など季節的な業務に雇われた人(ただし、継続して4ヶ月を超えて引き続き使用されるときは被保険者になります。)
(4) 博覧会のような臨時的事業の事業者に雇われた人(ただし、継続して6ヶ月を超えて引き続き使用されるときは被保険者になります。)
(5) 巡回興行のように、所在地の一定しない事業に雇われた人
パートタイマー:
(1) 1日の労働時間が、一般社員のおおむね4分の3未満であれば被保険者になりません。例えば、一般社員の労働時間は通常は8時間ですから、6時間未満であれば該当しません。
(2) 1ヶ月の勤務日数が、一般社員のおおむね4分の3未満であれば被保険者になりません。一般的には、1ヶ月に15日以下の勤務日数であれば該当しません。
したがって、最初からパートタイマーなどを健康保険・厚生年金保険の被保険者にするつもりがなければ、1日6時間以上、1ヶ月16日以上のいずれかに該当しないような契約をすれば良いでしょう。
事業所が、労働保険・社会保険に新たに加入するには新規適用の手続きが必要となります。手続きの順番は、労働基準監督署→ハローワーク→社会保険事務所の流れになります。
パートタイマーの育児休業。
要件:
(1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あること
(2) 子が1歳に達する日を越えて引き続き雇用されることが見込まれること(ただし、子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が終了し、更新されないことが明らかである者を除く)
パートタイマーの介護休業。
要件:
(1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あること
(2) 介護休業開始予定日から93日を経過する日を越えて引き続き雇用されることが見込まれること(ただし、93日経過日から1年を経過する日までに労働契約期間が終了し、更新されないことが明らかである者を除く)
パートタイマーの健診。
労働安全衛生法:事業主に、その雇用する労働者に対して、採用時および1年に1回以上(深夜業および一定の有害業務に就く者は6ヶ月に1回以上)定期に健康診断を実施することを義務づけています。
パートタイム労働者の健康診断の2つの要件のいずれも満たす場合に必要:
(1) 期間の定めのない雇用であること。(ただし、契約期間が1年(一定の有害業務は6か月)以上である者、契約更新により1年以上使用されることが予定されている者および1年以上引き続き使用されているものを含む)
(2) 1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であること。
自社の労働者を、休日に自社のアルバイトとして雇用。
業務命令でなく、あくまで本人の希望によるものとしても、その従業員が日々行なっている仕事をアルバイトとして休日に同じ仕事をさせることとなると不適切ではないでしょうか。単に賃金を削減するための手段として捉えられると思いますので、休日に労働させるなら、やはり通常の賃金の135%以上の割増賃金が必要になると思います。
次に、他部門へのアルバイトならどうでしょう。労働基準法第38条では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」としていますので、この場合でも、両方を合算した労働時間が1週40時間を越えれば時間外労働の問題が、また法定休日に労働すれば休日労働の問題が発生します。
ただし、ある部門が繁忙のため、本人の希望により空いている部門の従業員の応援をアルバイトとして募ること自体は可能と思います。この場合は、その繁忙部門として決められているアルバイトした賃金を支払うことでよいと思いますが、本来の部門の勤務時間とアルバイトした部門の勤務時間を通算して、1週40時間を越えればアルバイト先の賃金を基準とした時間外労働手当が、法定休日に労働すれば同様に休日労働手当が必要になると思います。
ただし、組織を別にしている会社のアルバイトを特に会社が許可する(例えば、親会社のアルバイトをする)とするなら、これらの問題は発生しないと考えますが、強制に渡らないなど運用は慎重に行なった方が良いと思います。